お勧め書籍のご紹介


私が牛歩ながら書を研究してきた中で、是非みなさんにお勧めしたい書籍を以下にご紹介させていただきました。日頃の書学の一助となれば幸いです。
 なお、掲載の書籍名と書籍イメージには、楽天へ商品リンクが貼ってありますので、購入ご希望の場合は、クリックしていただければ、その場で購入手続きをすることができます。どうぞご利用下さい。

書について
田辺萬平
発行所=日本習字普及協会
(私見)
私の所属する書道一元会の創始者で東京学芸大学名誉教授を歴任された故田邊古邨先生の随筆集です。私が最も尊敬する先生で、今でも私の書に対する基本的な姿勢は、先生の思想が基になっていると思っています。この随筆集は、書についてのみならず、物事の本質的な考え方についても大いに示唆を与えてくれるものです。

善の研究
西田幾多郎
発行所=岩波書店
(私見)
書に限らず芸術を研究する上でどうしても避けて通れない「美とは何か」という命題に関して、私はこの本から大いに示唆を受けました。文章自体は古くいささか難解ですが、「真・善・美」について一環した論法で説かれており、何度か読み下した後には、きっと容易に理解できるものと思います。今まで私は、これだけ理路整然とした哲学書を見たことはありません。文庫版でも出版されておりますが、私は今まで、この本をボロボロになるまで何度も繰り返し読んで、三度も買い直したほどです。

芸術とはどういうものか
三浦つとむ
発行所=明石書店
(私見)
この本は、世間で様々に論じられていた芸術という概念を日常の分かり易い事柄を引き合いに出しながら明快に定義しており、著者三浦つとむ氏を大いに注目するきっかけとなりました。私の中では、氏は西田幾多郎に次いで尊敬している哲学者です。この本は絶版になっていましたが、明石書店から新装版として蘇りました。きっと氏の思想を伺い知ることができるでしょう。当サイトに掲載の私の論文「芸術の基本」は、氏の考え方によるところが大きいと思っています。

字と書の歴史
江守賢治
発行所=日本習字普及協会
(私見)
この本は、低価格・コンパクトでありながら、書道史の概略が把握できるよう、読者の興味を引くように構成が工夫されており、大変に判りやすく書道史の入門版として最適です。

書道三体字典
筆順表示
高塚竹堂、野ばら社
発行所=野ばら社
(私見)
この本の著者の故高塚竹堂先生は、私の恩師の故山口古堂先生、書道一元会創始者の故田邊古邨先生の恩師です。私が幼稚園のころ習っていたお習字の手本がなんと竹堂先生の「かなてほん」だったのも、何かの縁と思っています。多分、私の書風の根幹には、竹堂先生の風が自然に染み付いているのではないでしょうか。当サイトを立ち上げようと思ったきっかけも、このような三体字典のインターネット版を作ってみたいと思ったからに他なりません。

論書謄語
田辺萬平
発行所=日本習字普及協会
(私見)
この本と、次にお示しした「書学捷要」は、共に書道一元会創始者の故田辺古邨先生の書論解説です。書論解説は兎角、実行を伴わないいわゆる書論家や評論家に論じられることが多いのですが、先生の書論は、ご自分の長い書研究に裏打ちされていることから、非常に説得力があり、私としては、日本文化の貴重な財産であると言っても過言でないと思っています。

書学捷要
田辺萬平
発行所=日本習字普及協会

中国法書選  29
皇甫誕碑
発行所=二玄社
(私見)
二玄社の中国法書選シリーズと日本名筆選シリーズは、手ごろな価格で装丁も簡易なため、古典をじっくり鑑賞するというより、日頃の臨書研究に大変使い勝手がよく、手放すことができません。ここには、過去私が多く臨書してきた法帖をご紹介いたしましたが、他の法帖については、ページ最後の書名検索をご利用下さい。

中国法書選  41
祭姪文稿・祭伯文稿・争坐位文稿
発行所=二玄社

中国法書選  38
書譜
発行所=二玄社

中国法書選  15
蘭亭叙〈五種〉
発行所=二玄社

中国法書選  31
九成宮醴泉銘
発行所=二玄社

日本名筆選  19
関戸本古今集
発行所=二玄社

日本名筆選  12
寸松庵色紙
発行所=二玄社

新修墨場必携  上
山本正一
発行所=法政大学出版局
(私見)
墨場必携の類は多種出回っていますが、この本(上、下、日本編)はコンパクトにもかかわらず、出典、語句解説、訳文と平易にまとめられ使い勝手がよく、愛用しています。実はこの本の原著は、かの市川米庵で、それを山本正一先生が翻訳した著書として貴重でもあります。

新修墨場必携  下
山本正一
発行所=法政大学出版局

新修墨場必携  日本編
山本正一
発行所=法政大学出版局